皆様こんにちは。ピースです。
休暇が水曜で終わったかと思えば、2日勤務でまた2日休みでした。
家では高校野球が面白い試合ばかりで、なかなか勉強もこのブログの記事起こしも捗りませんでしたが、明日から1週間、また本格的に仕事ですね。
さて、本日の本題は、土木学会誌8月号の特集「地下街は快適ですか-いま、都市の地下空間を考える」からです。
「地下」については、これまで、熊本地震に関するエントリで、基礎的な土質・地盤工学や地下水に関するお話は取り上げたことがあったのですが、実用的な「地下空間の利活用」という観点から取り上げた記事は書いてきませんでしたので、いい機会かなあと思いましたので。
また、その中でも最近は九州北部豪雨を中心として水害、あるいは水防災に関する話題を多く取り上げましたので、今回は「地下空間」における水害に関する話題を中心に。
まずは特集担当主査の黒山泰弘氏、および企画担当の伊藤直樹、廣脇大士、森野敬充、安井利彰四氏による、特集冒頭の文章から。
狭小な国土しか持たないわが国において地下空間は貴重である。特に、ヒト・モノが集積する都市部においては、戦前・戦後を通じて地下空間開発が進み、現在では都市活動に不可欠なものとなっている。しかしながら、その活用にあたっては、地震防災、洪水・浸水に対する防御、閉鎖空間であることから生じる心理的抵抗、災害時の避難誘導、等課題も多い。また、戦前に建設された構造物の維持管理・更新も大きな社会問題と考えられる。
一方、地下空間活用・開発の範囲は大きく広がっている。従前は浅い地下で埋設管や道路・鉄道などの特定の施設のみの利用であったが、現在は空間的には大深度まで広がるとともに、下水処理場・貯蔵施設・発電施設・地下河川等多様な利用事例がみられる。また、土木技術としての視点でも、心理面や防災面での対応を含む計画論、仮設を含む掘削技術、構造物の設計・施工技術、維持管理、建設マネジメントなど幅広い分野があり、種々の研究・検討が進められている。
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地下では「水のリスク」は高い。我が国の年は沖積平野に広がっているため、津波やゲリラ豪雨への物理的浸水対策、ならびに、発生した際の避難誘導は重要な課題と認識されつつあり、種々の検討・実践が取り組まれている。
地下空間の水害と言うと、私がまず思い出すのは、平成11(1999)年6月、そして平成15(2003)年7月という2度にわたる博多駅の浸水による被害です。
私も高校のときまでは福岡県に住んでいましたので、リンク先に掲載されている写真の状況は全国・ローカルニュースともに流れていましたし、都市圏ならではの「水」の物理的な破壊力を示した現象ということで、衝撃を受けた覚えがあります。
一方で、私も今の専門分野が河川ということで、「地下河川」については、東京メトロ副都心線の新設などに伴う渋谷駅の地下河川の移設工事の話が、記憶に新しいです。
あの広大な駅の地下に「川が流れている」というのも、聞いてみると驚かされますよね。
また、下水処理場、およびそこに水を引くための上下水道に関しても、私の感覚としてはなじみの薄い分野なのです(実際、技術士試験も「建設部門」と「上下水道部門」は分かれていますし…)が、それでもやはり河川から水を引いて安全な水を家庭や工場および事業所に供給し、それをまた環境に負荷をかけない形で河川に戻すということをやっているわけですから、少なくとも関連性のある分野であることには違いないです。
そして、この文章では、1段落目で「心理的抵抗」、そして2段落目で「心理面や防災面での対応を含む計画論」と書いていますように、今までの特集と比べて心理的アプローチを重点的に取り上げているのが特徴と言えますね。
心理的アプローチと言うと、先日参加報告をさせていただきました土木と学校教育フォーラムでも、社会心理学の専攻から防災に関する研究機関にいらっしゃる矢守先生による「クロスロード」というゲーム形式でアイデアを引き出す方法を紹介いたしました。
引用元の文章にもある通り、地下街は「閉鎖空間」という性質もあって地上に比べてもはるかに適切な避難行動を取るのが難しいと言えます。
私自身も熊本地震の時、そして「水防災意識社会再構築ビジョン」という政策方針の紹介においても、「ハード対策」と「ソフト対策」というアプローチについては取り上げてきましたし、今回の地下空間のケースにおいても、現状の日本におけるヒト・モノ・カネの制約の中では、まさに「津波やゲリラ豪雨への物理的浸水対策」という「ハード対策」と、「発生した際の避難誘導」を始めとする「ソフト対策」、その両方から考えていく必要があることは言うまでもありませんね。
というわけで、次回以降、同誌の特集から2つほど、研究や実践の事例についてこちらで取り上げてみる予定でいます。
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