土木学会誌5月号より、IoTの話題(4)-事例研究その2:地震情報の収集について

皆様こんにちは。ピースです。
6月に入りました。
これから本格的に暑くなり、また梅雨にも入りますね。
私の勤務先もまた、体調を崩して休んだ部の先輩社員などいますので、体にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください。

さて、土木学会誌5月号からのIoTの話題は、今回までで一区切りとします。
今回の引用は、戸田建設株式会社 価値創造推進室技術開発センター主管の保井美敏氏による、「ユレかんち」による地震情報のリアルタイム収集・共有 より。

建物のフロア震度をリアルタイムに監視

 「ユレかんち」のセンサーノード内部には、汎用MEMS(Micro Electro Mechanical Systems: 微小電気機械システム)加速度センサー、PoE(Power over Ethernet: Ethernetの通信ケーブルを利用して電力を供給)ユニットおよび安価なシングルボードコンピューターが備わっている。センサーノードにボードコンピューターを利用することにより、センサーノードをIoTターミナルとして多機能化させることができ、加速度データの大きさを判断し、データをクラウドに送ることや、接点スイッチに信号を与える(放送設備やドア開閉でのスイッチ)ことができる。
 システム概要とインフォメーション画面例を図1に示す。本システムは、クラウドサーバを利用し、データ分析をリアルタイムで行い、複数データを一括監視できる。共有される地震情報は、最大建物計測震度相当値から判定した構造に即した健全性診断結果、フロア震度(計測震度)および加速度情報である。内容はメールにより様々な機器に配信され、いつでもどこでも閲覧可能であり、健全性診断情報を基に建物の迅速な点検や復旧対策が可能となる。

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実際のところは、この前に「ユレかんち」開発の背景という項目があるのですが、書かれているのは、まあ皆様のご想像の通り、「こういう技術開発の分野に対する関心が高まっているのは、東日本大震災以降のこと」という主旨のお話です。

で、少なくとも私が学部3年までに学んできた専門分野のカリキュラムでは、土木工学で扱う「固体の動力学」というと、地震動に対する応答の力学、あるいはそれに絡んでの耐震構造設計というのが、ほぼ唯一と言っていい分野でしたし、一般的な学部のカリキュラムではどこも同じだろうと思います。
また、私の大学では学生実験で振動に強い橋脚の模型を作るコンペ的なものもありました。
(ちなみに「固体の」動力学と書きましたが、「固体以外には何があるの?」といいますと、流体力学(水理学:私は専門が河川なので、これがメインの道具になるわけです)、あるいは粒状体力学(土質力学/地盤工学、これは熊本地震のエントリでちらっと触れました)などです。)

でも、建物とか構造物の固有振動数(ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この固有振動数がたまたま来た地震動の振動数と一致してしまうと、「共振」を起こして、最悪倒壊するということになります)を測定し、またそれを利用して揺れの大きさを判定するとか、あるいは、老朽化や過去の地震で受けたダメージによる危険を検知するということになりますと、実験模型のように一筋縄ではいきませんよね。
こういうところで、リアルタイムの情報を収集し、危険を予測・判断する技術に結びつけられるのも、「マイコン」あるいは「組込みシステム」と呼ばれる情報分野の発達によるところが大きいでしょう。

土木インフラへの適用と課題

 IoT技術、クラウドサーバの利用により、リアルタイムに扱えるデータ情報量が増え、データを有効に利用することにより、多くの地点における地震情報のリアルタイムな共有が可能となり、早急な意思決定に利用できる。インフラ構造物でも地震後に早急な点検・復旧に対応するため、リアルタイム地震情報の共有実施を目指していくつかの研究会が設立されている。
 地震情報をリアルタイムに収集し、構造物の健全性判定を即時に行うシステムは現在いくつか開発されている。社会インフラへの適用も視野に入れると、「ユレかんち」で紹介したような健全性診断結果等の地震情報が、IoT技術を有効に用いてリアルタイムに共有され、共有された情報が有用に活用されることが期待される。
 これらの情報を管理するにあたって、情報通信網の整備やセキュリティに関する安全性が重要になってくる。センサーそのものに問題がなくても通信トラフィックが混雑して想定通りの情報配信ができないといった問題に遭遇することがある。今後IoTを利用したシステムを開発するにあたり、センサーだけでなく通信も重要な課題である。

まず、ソフトウェアレベルでも、私は前々回、「開発の方々の大変な苦労があってこそ、私達が直感的にマウスとキーボードで動かせる製品版のプログラムは出来上がっている」という話もしましたが、今回はこの話題に「通信」が加わりました。
この「通信」というのが、よくよく考えてみれば、また凄まじい代物ですよね。
15~20年とかそのくらい前だと、100キロバイトの画像を送受信するのにもそこそこ待たされるというのが当たり前な時代ではありましたが、それでも、インターネットとか電子メールとか、当時としては画期的な技術だったことには違いないわけです。
それが、固定回線はADSLやらFTTH(光ファイバー)やらが登場し、そしてWifiによるLANの無線化…
モバイルも、機能はほぼ通話だけだった「携帯電話」から、imode/Ezwebといった「ガラケー」、そして超小型のパソコンとも言える「スマートフォン(スマホ)」と進化してきました。

この進化によって、まさに「リアルタイム性」なる要求もたやすく満たせるようになったわけですが、私は過去の記事で、水害については「川の防災情報」というWebページのこともご紹介しました。
地震についても、これからハード・ソフト両面での発展が期待されますね。

そして、引用元で最後に取り上げられたのが「セキュリティ」です。
これが、基本情報技術者試験の合格報告でお話したとおり、今IPA(情報処理推進機構)が最も重要視している要素でもあります。
具体的にはリンク先のエントリに取り上げたとおり、資格試験の制度一つ見ても、旧セスぺを「情報処理安全確保支援士」という登録制の資格に変更したり、技術者以外にもITシステムの利用者・管理者を対象とした「情報セキュリティマネジメント試験」なるものを新設したりという策を打っています。
(ちなみに、後者は私も今度の秋期試験で受けることを検討中です)

ただし、セキュリティというと、そういう手のWebサイトをまわってみると、一般的にITシステムを取り扱っている業界(これはもう今の時代ですから、「ほぼどんな業種でも」と言い換えていいと思います)ではかなり地味な役回りという認識がされていて、比較的大きな企業でも、(もちろん大事ではあるけど)そこにあまり人件費やらコストをかけたくないというのが本音のようです。
ですが、私達の仕事は、国・地方を問わずお役人が相手ですから、これは最も扱い方を気をつけねばならない分野であることには間違いないですね。
私の勤務先も、社内レベルでもランサムウェア対応はかなり緊急性を高める方向で取り組んでいますし。

これまで、ここを含めて4エントリにわたって、土木とIoTの話題を取り上げてきました。
特に後半の事例研究は、最先端の技術を応用した話題で、しかもかなり多くの切り口からの考察だったので、これから私自身の知識の使い方を考え、より具体的な提案をつくる材料にしていきたいところです。

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