建国から約150年間に書かれた「成功に関する文献」は、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、質素、節制、黄金律など、人間の内面にある人格的なことを成功の条件に挙げている。私はこれを人格主義と名付けた。中でもベンジャミン・フランクリンの自叙伝は圧巻で、特定の原則と習慣を深く内面化させる努力を続けた一人の人間の姿が綴られている。
この人格主義が説いているのは、実りのある人生には、それを支える基本的な原則があり、それらの原則を体得し、自分自身の人格に取り入れ内面化させて初めて、真の成功、永続的な幸福を得られるということである。
ところが、第一次世界大戦が終わるや人格主義は影をひそめ、成功をテーマとした書籍は、いわば個性主義一色になる。成功は、個性、社会的イメージ、態度・行動、スキル、テクニックなどによって、人間関係を円滑にすることから生まれると考えられるようになった。
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しかし、個性をもてはやす数々の「成功に関する文献」では、人を操るテクニック、ひどいときには明らかに騙しのテクニックさえ紹介されていた。相手が自分を好きになるように仕向けたり、自分が欲しいものを得るために、相手の趣味に興味があるかのようなふりをしたり、はたまた高圧的な態度で恐がらせ、人を利用するテクニックである。
皆様お疲れ様です。ピースです。
皆様もそうかもしれませんが、サッカーワールドカップの観戦で寝不足です…
生活のリズムは、何とか正常に保ちたいものです。
さて、本題は伊勢先生の講演会の報告の続き…
なのですが、今回はその参加報告後半部の冒頭でいきなり全く別の本からの引用という、珍しい形となりました。
それも、前回のエントリで申し上げたとおり、このブログをお読みの方ならご存知、もしくはもう読まれているという方も多いと思われる、名著『7つの習慣』の一節からです。
実はこの本、このブログで取り上げたいと思っている箇所がおそらく両手で数え切れないくらいあるのですが、引用する機会をかなり見計らっていた本でもあります。
そして、もう一つ申し上げますと、昨年年始の同じ伊勢雅臣先生の講演会の報告でも、Win-Winという話をしましたが、「7つの習慣」のうちの1つ(第4の習慣)こそが、この「Win-Winを考える」です。
私はこの引用箇所の、本来「人格」こそが土台であって、「個性」はその土台があってこそ力を発揮する二次的なものであるという主旨には、大いに賛同します。
そして、前々回の報告前半部分のエントリをお読みの方ならお分かりでしょうが、これこそがまさに、その最後に申し上げた、「『個性重視』の何が問題か?」に対する、私の回答です。
で、引用元の著者のコヴィー氏は、もちろんアメリカ人なので、アメリカの歴史観にしたがって、「第一次世界大戦」を境に、本来第一義的に取り扱うべき「人格」がすっぽり抜け落ちた「個性主義」に取って代えられてしまったということを仰っています。
ここで出てくる当然の疑問は、「では、日本はどうか?」ということですよね。そして、このブログをずっと読まれてきた方なら、それに対する私の回答も、恐らく予想できるのではないかと思います。
私の回答は、
「日本においては、『大東亜戦争(太平洋戦争)を境に』やはり同じ変化が起こっている」
ということです。
この講演は「教育」がテーマということで、こういう場だと必ずといって良いほどお話される話題が、もちろん教育勅語についてです。
今回はあいにく詳細は割愛させていただきますが、伊勢先生も海外経験のある方ということで、教育勅語と「The Book of Virtue」という英語の道徳読本の対応関係も示されていました。
私は、これまで教育に関する講演や議論の場に参加したことがありましたが、そのたびに、
やはりこの「教育勅語」ほど、「(小手先の)テクニック」と「個性主義」に走らず、人としてあるべき姿、つまりは「人格」の形成に寄与するものはないと申し上げていいだろう、
そして、その教育勅語も含め、「戦前の体系=戦争、軍国主義」などという反日的刷り込みがいかにおかしなものか、
という印象が深まるんです。
(もちろん、教育も本来は、大人たちが模範になってナンボのものなのでしょうが、その全く逆をいってしまったのが、いわゆる「モリ・カケ」の現場における問題の実態ということも言えますが…)
そして、今回この『7つの習慣』から引用しようと思った理由は、もう一つあります。
講演のレジュメの、3.教育に関する科学的研究から見えてくることより。
・ 教育経済学
久保田准教授らは、しつけが子供の勤勉性に因果効果を持つことを明らかにしました。すなわち、親が幼少期のしつけをきちんと行い、基本的なモラルを身につけさせるということは、勤勉性という非認知能力(知能指数などで計測される認知能力と異なり、忍耐力、社会性、やる気など直接計測できない能力:筆者補注)を培うための重要なプロセスなのです。そして、このしつけによってはぐくまれた勤勉性が、平均的な年収の差につながったのだと考えられます。(中室牧子著『「学力」の経済学』ディスカヴァー・トゥエンティワン)しつけ…仏教語で「習慣性」を意味する「じっけ(習気)」が一般に広まる過程で「しつけ」に変化。裁縫で、縫い目を正しく整えるためにあらかじめ荒く縫う「しつけ(仕付け)」と混同(『語源由来辞典』)
「引用の中の引用」が2つ続いている形になっていますので、少し分かりにくいかもしれませんが…
本エントリ冒頭の『7つの習慣』の引用も、このレジュメからの引用も、まさに「人格」を創るものとして「習慣」という言葉を使っていますね。
そして、本講演会の参加報告の前半から述べています、「何か認識がずれているとしか思えない教育方針」です。
これも、この「習慣」と対になり、また「個性」に対応する、「(小手先の)テクニック」的なものしか見えないということこそが、まさに「認識のずれ」の正体ということが出来るでしょう。
この伊勢先生の講演会、ほかにも「江戸時代の世界ダントツの識字率」のお話や、5S活動(この”5S”のうちの一つが、まさに上記の「躾(しつけ)」です)など、技術者としてもこれからの日本を考える一国民としても、興味のある話が満載でした。
そして私自身も、久々に本からの引用も組み合わせた形で記事を書かせていただきましたね。
今後も色々な自分自身の学習と経験も通して、参加している活動や講演会についての感想や意見を発信させていただきます。
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