皆様こんにちは。ピースです。
「第2回TOKYO憲法トークライブ」への参加報告ということで、前回は、集会の全体的な雰囲気と、首都直下地震の想定被害規模に関するお話を取り上げました。
今回は、その続き。
というか、ここからが本番です。
2.「あってはならないことは考えてはならない」という日本人特有の考え方について
これはシン・ゴジラのパートから、パネルディスカッションの 全体にわたって話題になったことです。
憲法というと、「緊急事態条項」の必要性がしばしば話題に上がりますね。
ならばなぜ、それが盛り込まれることを考えるべきだという話がこの70年間、ほとんどあがってこなかったか?
それに対して、この集会では「『万が一』ということを日本人は極端に嫌う」という一つの回答を提示しています。
一番議論の中心になる箇所からあげて見ますと、私はツイッターでもこういう主旨のつぶやきを良く見ます。
「社共の連中は『戦争反対だから自衛隊はいらない』とかいうけど、それなら『火事がなくなって欲しいから消防は、あるいは犯罪がなくなって欲しいから警察はいらない』のか?」
で、今回はこれに類似・関連した内容で、コメンテーターの井上さんがこういうことをおっしゃっていました。
「憲法に理想を書くことはすべきでない。仮に憲法に理想を書けばそうなるというのであれば、『津波が来てはならない』とか『道路が陥没してはならない』とか憲法に書いておけばいい」
はっきり申し上げましょう。
私はこれ、ぐうの音も出ない正論だと考えます。
そして、もっと率直な述べ方をすると、「津波が来てはならない」とか「道路が陥没してはならない」とか、そういう考え方で普段の生活を過ごし、そして(政党を問わず)大規模災害の発生しやすい国土特性なんて考慮に入れる気もない政治家を選ぶ国民が多くなってしまったことこそが、まさにメインエントリに述べている「”Civil”面的平和ボケ」の本質といえるでしょう。
3.「自衛隊の自己完結性」について
この話があったのは、その直前のアンケートで、「大規模災害が起こったときに、一番頼れると思うのは?」という主旨の質問がありまして、それに対する会場からの回答を受けてのことでした。
この質問の選択肢は、「自治体」「政府」「消防」「警察」「自衛隊」という5択でしたが、やはり回答で一番多かったのは「自衛隊」でした。
で、「この見出しのキーワードである、『自己完結性』とは何ぞや?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますので、それについては、「おそらくそれは役に立たないミリタリー知識」の災害派遣ページからの引用を。
自衛隊に限らず、軍隊は極めて高い自己完結性を持っています。「自己完結」とは、日常を送るために必要とされるほぼすべてを自らの装備と人員で補う能力のことです。軍が最も威力を発揮すべき現場は言うまでもなく戦場です。それは海であり、砂漠であり、山地であり、森林であり、そして空です。そこには(当然ですが)電気もありませんし水道もありません。宿舎や食堂もありません。
彼らは戦ってりゃいいだけではなく、当然休息もするし食べもする、高いレベルで戦力を維持するためにそういった「不毛の地」でも己のコンディションを保つ必要があります。この「コンディション」には車両・航空機の整備や補給、医療行為ももちろん含まれます。陸上自衛隊には15種、航空自衛隊には30種、海上自衛隊には50種の職種・職域があります。これらには建設、輸送、通信、医療、防疫、給食、給水、発電などあらゆる分野が含まれます。道のないところに道を作り、宿舎のないところに天幕を張り、食堂のないところに食料を供給し、故障した車両・機材を自ら修理し、けが人を治療し、大量の物資を輸送しつつ「大規模な任務を達成できる」組織は、好むと好まざるにかかわらず、日本においては自衛隊しかありません。消防も警察ももちろん高い能力を持っていますが、自ら幕営地を作る能力はありませんし、故障した車両を修理することもできません。ライフラインが絶たれた状況で活動を「維持する」ことは、自衛隊にしかできないのです。
ここで私が強調した「好むと好まざるとにかかわらず…」という言葉は、まさに井上さんも同じことをおっしゃっていました。
集会のときにお話されていた具体例を、もう一つ挙げてみましょう。
本ブログでは最近は水資源をはじめとする土地問題のことを話題にしていますが、その「水」一つ取って見ても、自衛隊は川の水を濾過することも訓練でやっているのに対し、消防・警察はコンビニやスーパーの飲料水を利用しないと任務遂行が不可能であるということなのだそうです。
こういうことって、なかなか普段の生活から意識する話ではないですよね。
私も防災をやっている技術者として、前項の最後でリンクを貼ったメインエントリの最後も
何よりも、私の創っている付加価値は、間違いなく、現場の方々のご活躍があってこそ存在している。それに対する感謝の気持ちを、いつでも忘れないようにしたいと思います。
という締め方をしています。
ここに書いた「現場の方々」には、施工時にご活躍されている技能者やそれを指揮する技術者だけでなく、まさにここにある「消防」「警察」「自衛隊」も含まれるわけです。
ただ、私自身はこれまで、この3つを同格に見てきていた感じだったので、この「自己完結性」というのは結構重要なポイントだなあと思わされました(もちろん、「消防と警察についても、それ以外の面から見るとそれぞれにしかできない役割があることには違いない」ということを言い足した上で)。
というわけで、非常に学びの多い集会でした。
「憲法」という敷居の高い話題に関して、このようにWebシステムを用いた参加型の企画を立てるというのは、技術的にも企画的にも大変だっただろうと思います。
運営スタッフの方々には、このような有意義な場を設けてくださり、感謝ですね。
こちらの集会、ヤフーニュースの記事にも取り上げられました!
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